±ゼロの世界

22日に職場の方が亡くなりました。
がんでした。それも末期の。
がんだということがわかったのが去年の9月末。
そのとき既に末期で転移もしてて、余命3ヶ月と宣告されていたそうです。
私達は詳しい事情を聞かされていなかったので、まさかそんなに深刻な病状だとは露ほどに思っていませんでした。
職場復帰は難しいだろうという話しを聞いたのが18日、状態が悪化してきたと聞いたのが21日でした。

私の職場はある個人病院です。個人病院と言えども医師は4人いました。医師4人に加え事務長は親子です。
亡くなったのは事務長さんです。明るい声と笑顔がとても素敵で、出会ってから一年に満たないけれどたくさんお世話になりました。
「医者が4人もいて治してあげられないなんて」そう言った副院長の言葉が耳にこびりついて離れません。看護師の私達ですら何の力になってあげられなかったことを悔いているのに、医師である家族にしてみれば尚更でしょう。
家族が医者で、末期がんの宣告をされて、余命が3ヶ月で。まるでフィクションのようなシチュエーション。
正直今でも「私は長い長い悪夢を見ているのではないだろうか」そう思うことがあります。それでも儀式の日取りが決まったり当日の打ち合わせ等があるたびに「夢じゃないんだ」と現実に引き戻される思いです。

21,22日はとにかく酷い状況でした、私。
頭の中は真っ白で、でも思い出が浮かぶたびに涙が溢れ、笑い方を忘れていました。
でも仕事があるのにいつまでも悲観に暮れていられないし、何より事務長さんに失礼です。
明るくて前向きで決して弱い部分を見せようとしなかったあの人の為に。
めそめそして湿っぽく送られるより、笑顔で明るく送ってあげた方がきっと喜んでくれるはずです。
だからあの人の笑顔に倣って、心配をかけないように頑張りたいと今は思っています。


あなたと初めて会ってまだ一年も経ってないし、同じ空間で働けた期間は半年ちょっと。
それでもあなたから教わったものは大きくて。
あなたの明るい笑顔がまた見たい。
あなたの元気な声が聴きたい。
あなたのゴスペルのコンサートだってたった2回だけ。
あなたともっとずっと色んな話がしてみたかった。
まだ逝くにはあまりにも早すぎて、現実は酷すぎるくらい無常で。
だけどあなたの為に、あなたに届くように。
私は私なりに頑張るからずっと応援していてください。
だから今はまだ少しだけ泣かせて。
そのあとに絶対あなた譲りの笑顔を浮かべてみせるから。